小話「彼岸」

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 門前に 供華売る八百屋 秋彼岸  伊藤文子

 秋分(春分)の日前後一週間を彼岸といいますが、俳句歳時記では「彼岸」は春の季語で秋の彼岸は「秋彼岸」として区別されています。恥ずかしながら、このことを初めて知りました。
 彼岸は、私の家でも盆同様 墓参り等に行ったり、殺生を嫌い精進料理やおはぎ作り仏壇にお供えをします。今年はまずまずの天気でなによりでした。 夕べ、友人の母親のお通夜に行ってきました。93歳で大往生し彼岸への旅立ちに、友人の顔に悲壮感はありませんでした。ご冥福をお祈りしました。

 彼岸に因んで与太郎小話をひとつ。
 彼岸の中日、与太郎が何か言いたそうな顔で町内を歩いていると、大工の半次郎に呼び止められた。
「与太、どうかしたかい?」「半さんは、彼岸というものを見た事があるかい?」
「彼岸なんてぇものは、見えるもんじゃないんじゃないのかい?」と言われたが与太郎は見たときかない。与太郎が見た彼岸は、黒くて、足がいっぱいあって、少し気味が悪いものだという。
「それがどうして彼岸なんだい?」
「あのね、今朝そいつがおいらの前に出てきたもんで、ホウキで殺そうとしたら、おっ母ぁがこう言ったんだ。彼岸だからやめとけって」  お後が宜しいようで!

 

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