藪の中

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 写真は1950(S.25)年公開された黒沢明監督の映画「羅生門」のポスターです。昔映画を見られた方もおられると思います。芥川龍之介の短編小説「羅生門」と「藪の中」を基に作られた映画で、三船敏郎、京マチ子、森雅之、志村喬等が熱演している、素晴らしい内容でした。

 「藪の中」では、ある日、一人の木こりが藪の中で死骸を見つけます。検非違使(けびいし)に問われる木こり、旅の法師、媼(おうな)に続き多襄丸の白状、清水寺に来れる女の懺悔、巫女の口を借りた死霊の物語りで構成されています。この検非違使に取調べを受けた何れもが違う内容を喋って、自分は犯人とは違うと言い張り、真相は藪の中のまま小説は終わります。

 今、世間を賑わせている「森友学園問題」。国会で証人喚問があり色々な新しい証言もありました。名指しされた関係者等皆口を揃えて「知らない」「関係ない」「関与していない」などと自分又は親分の保身の為に都合の悪い事は喋ろうとせず、真相を覆い隠そうとする様な発言を繰り返しています。短編小説と同じと受け取れます。文字どおり全く「藪の中」ですね。藪の中に埋もれさせてはいけないのでは?皆さんはどう感じていますか?
龍之介が現在生きていたら、どう言うコメントをだすのでしょう。

 龍之介は、「羅生門」を大正4年に、「藪の中」を大正11年に発表しています。小説は平安初期の京で治安の悪い時期が舞台となっているのですが、今も人間は余り進化していなく逆に悪賢くなっているのではとさえ感じます。「藪の中」改めて読み返しましたが、人間の本質をついている作品で芥川龍之介はやはり天才ですね。

 注)検非違使:平安初期から置かれた京の非法、非違を取り締まった現在の裁判官、警察を兼ねたような
強大な権限を持っていた。
   媼:歳をとった女、老女     何れも広辞苑調べ。

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